RLCS (Restriction Landmark cDNA Scanning) 法
 RLCS法は多数のmRNAに由来するcDNA断片を同時にかつ定量的に二次元電気泳動ゲル上にスポットとして提示する方法である。工程の概略は以下の通りである。mRNAからNotIサイトを有するビオチン化アンカープライマーを用いてcDNAを合成し、制限酵素Aで消化する。消化されたcDNA断片末端をRIラベルした後、アビジンビーズによりcDNA断片を精製する。NotI消化を行いビーズよりDNA断片を遊離させ、チューブ状のアガロースゲルを用いた電気泳動で分離(一次元目の電気泳動)する。泳動終了後、cDNA断片をゲル内に保持した状態で制限酵素Bにより消化する。その後アガロースゲルをポリアクリルアミドのスラブゲル上に接合し、二次元目の電気泳動を行う。一次元目の泳動では、NotI siteから制限酵素Aのsiteまでの距離に従って分離が行われ、二次元目の泳動では、制限酵素AのsiteからBのsiteまでの距離に従って分離される。泳動後のゲルサンプルは乾燥後、オートラジオグラフィーでスポットを視覚化し、分析する。通常1枚のオートラフィルム上には2000個以上のスポットが検出される(下図参照)。それぞれのスポットの強度は対応するmRNAの発現量に対応しており、制限酵素の組み合わせを変えることで、サンプル中に含まれるcDNAについて網羅的な解析を行うことができる。
 統合神経生物学研究部門では、ニワトリ網膜の前、後、背、腹の各領域において片寄った発現を示す分子のスクリーニングをRLCS法により行った。その結果、これまでに50以上の領域特異的に発現する分子を同定している。このように領域特異的に発現する分子群は、網膜から視蓋への領域特異的な投射の形成に関与している可能性が高い。実際、このうちのいくつかについては、領域特異的な投射に重要な役割をしていることを、我々は明らかにしている。

典型的なRLCS法によるオートライメージ。それぞれのスポットが1種類のmRNAに相当する。